モーリス・ベジャール・バレエ団 Aプロ

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6月8日(日) 神奈川県民ホール 3:00p.m.

★これが死か SERAIT−CE LA MORT?

ジュリアン・ファヴロー
カテリーナ・シャルキナ
カトリーヌ・ズアナバール
エリザベット・ロス
ダリア・イワノワ

音楽: リヒャルト・シュトラウス「4つの最後の歌」

ブルーの衣装のファヴローがまずセンターに立ち、前方に向かって踊りながら進んでくる。と、音もなくピンク、ローズレッド、パープル、白の衣装の4人の女性が彼の周りに次々と現れる。解説によると、死を前にした男のもとに、彼がかつて愛した4人の女性が代わる代わる現れる、という設定だ。そのうち3人と彼は人生のひとときを分かち合ったが、第4の女性のことは全く思い出せない。

3人は「ローズ、フクシア、バイオレットの花の色の衣装を着けている」とある。ただ、フクシアの色が、ピンクなのか、濃いローズレッドなのかよくわからない。私のイメージではフクシアはバラより紫に近いピンク色なのだが、「ローズ色」というのは結構濃いピンクをさすのが普通なので、この2つの判別がつきにくい。ベジャール・バレエ団のメンバーの顔をハッキリ知らないので、よけいわからない。

今年1月のBBLの公演では、「若さ」: カテリーナ・シャルキナ、「経験」: カトリーヌ・ズアナバール、「洗練」: エリザベット・ロス、「死」が カルリーヌ・マリオンだったそうなので、おそらくダリア・イワノワが白い衣装の「死」なのであろう。

歌声の入った音楽は優雅で、「死」を表すとはとても思えない。まさに「これが死なのか?」という感じだ。それぞれの女性との踊りはとても美しかった。最後に、白い女性に絡まれるように、男性は倒れる。「死」が訪れたのであった。

★イーゴリと私たち IGOR ET NOUS

シェフ: ジル・ロマン
パ・ド・カトル: カテリーナ・シャルキナ、 カルリーヌ・マリオン、ダリア・イワノワ、ルイザ・ディアス=ゴンザレス
パ・ド・トロワ: ダヴィッド・クピンスキー、ジュリアン・ファヴロー、ダフニ・モイアッシ
パ・ド・ドゥ: マーティン・ヴェデル、カトリーヌ・ズアナバール

音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

幕が上がるにつれ、黒の背面中央に白く細長い(といっても幅2mくらいはありそう)四角形が現れる。カウントを刻む声、続いてフランス語が流れ、黒の燕尾服のジルが、パントマイムのように、その声に合わせて動く。ちょっと誇張気味でユーモラスに感じる。さらに白黒の衣装の他のダンサー達が加わり、ジルが指揮者でダンサー達が楽器または音符のように動く。ジルは時々ダメ出しのような動きもある。声がそのように聞こえるのだが、フランス語かと思ったら英語になってたりする。そのうちに、声が音楽に変わる。ストラヴィンスキーの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」で、「イーゴリ」というのはストラヴィンスキーのことだったのかと気がつく。

解説によると、ベジャール氏は2007年に、オーケストラのリハーサル中のストラヴィンスキーの声を用いてバレエを作ったということだ。彼の死により、未完成となったこの作品を、ベジャール氏の遺志を継いでジルが完成させたそうだ。声の主は最初一瞬ベジャールかと思ったが、ストラヴィンスキーということで、そんな声が残っているのだということにも感動した。やはり彼は20世紀最大の音楽家だものね。

いつのまにか後の四角形が水色に変わり、ジルがその前を歩いてきて、それは四角い板ではなく、背景のスクリーンで、その前にある黒いカーテンの隙間だったのだと気がついた。心理学などでよく見かけるフィギュール&グント現象だったのか。すっかりひっかかってしまっていた。

ついジルの動きばかりに注目してしまうが、それぞれのダンサーの動きも素晴らしかった。ベジャール・ダンサーはモダンでありながらクラシック的な美しい動きが基本にあるので、目に美しく感じるのだ。

★祈りとダンス  LA PRIERE ET DANCE

ルーミー: カンパニー全員
3つのバラ: ルイザ・ディアス=ゴンザレス、カトリーヌ・ズアナバール、ダリア・イワノワ
炎: バティスト・ガオン
デュオ: カテリーナ・シャルキナ、ジュリアン・ファヴロー、
ゴレスタン: カンパニー全員
パ・ド・ドゥ: ヨハン・クラブソン、アレッサンドロ・スキアッタレッラ
パ・ド・トロワ: ジュリアーノ・カルドーネ、エティエンヌ・ベシャール、ニール・ジャンセン
アルトゥール・ルーアルティー
パ・ド・カトル: ガブリエル・バレネンゴア、ティエリー・デバル
マーティン・ヴェデル、エクトール・ナヴァロ
ソロ1  那須野 圭右
ソロ2  ドメニコ・ルヴレ

これが1番おもしろかった。白いロングスカートに袖無しの短ジャケットを素肌に着けた男性17人がダイナミックに踊るのは壮観。 ジャンプしたり、手を繋いで輪になって回ったり、脚を上げるたびにスカートが描く線が面白い。呪文のような、歌声のような人の声や、インドか中近東のような変わった音楽がバックに流れている。

次に頭にバラの花の被り物をした赤いユニタードの女性3人の踊りは、クラシックではないがフォームが美しい。 

炎のバティスト・ガオンは胸に花のような赤と黄色の炎の絵が描かれている。かつてジョルジュ・ドンもこんな風に胸にこの絵を描いていた写真を見たことがあったが、同じ作品だったのだろうか?

ファブローとシャルキナのデュエットでアクセントをつけた後、再び男性群舞の勇壮な踊り。今度は上半身裸で、赤いドレープがたっぷり入った、足首が細くなったパンツを着けている。最初の踊りとはまた違って、いかにもベジャールらしい踊りだ。そこへパ・ド・ドゥやトロワ、カトルなどが加わる。ソロの日本人ダンサー那須野圭右さんがすごい喝采を受けていた。 ドメニコ・ルヴレやジュリアンも。

<休憩>

★ボレロ BOLERO

オクタヴィア・デ・ラ・ローサ

ドメニコ・ルヴレ、バティスト・ガオン、ジュリアン・ファブロー、マーティン・ヴェデル、エクトール・ナヴァロ、ヴァランタン・ルヴァラン、ティエリー・デバル、ガブリエル・バレネンゴア、那須野 圭右、アレッサンドロ・スキアッタレッラ、アドリアン・シセロン、ヨハン・クラプソン、エティエンヌ・ベシャール、ダヴィッド・クピンスキー、ジュリアーノ・カルドーネ、ニール・ジャンセン、シャルル・フェルー、アルトゥール・ルーアルティー

よく考えたら、BBLで「ボレロ」って、ほとんど見たことがない。いつもギエム+東京バレエ団だったような気がする。なので、メロディーを男性が踊るのも、滅多に見てない。やはり男性の数が圧倒的に多くて、「ボレロ」はやっぱりオリジナルのBBLに限る、と思ったら、後列の男性は日本人ばかりだった。エキストラだったのだろうか。それでも、30人以上の男性の集団は、とっても迫力があった。本拠地でだったらエキストラはいらないだろうから、さらに圧倒的なんだろうな〜と思った。

席がサイドやや後方だったので、幕開けのライトの線がよく見えて、オクタヴィオの腕に当たって動いていくのがおもしろかった。今までギエムだと前の席またはセンターが多かったので、当たっている腕の動きはよく見えたのだけれど、ライトの線が2本絡み合っていくところは初めてで、不思議な光景だった。

わずか15分の作品なのに、いつも結構長く感じる。そして、クライマックスに来ると、ああ、もう終わってしまうのか、と必ず思う作品。やはりBBLのダンサーは凄いな〜と感動。最後一部スタンディングになっていた。これが最終日だったらもっと凄いのだろうか。でも松江だしどうかな。

ジュリアン・ファブローは全演目に出演して、すっかり中心ダンサーである。でも、前のような危うげな儚さは微塵も感じられず、逞しい男性に成長してしまったのが、ちょっと淋しいような。カトリーヌ・ズアナバールを始め、カテリーナ・シャルキナ、ダリア・イワノワも「ボレロ」以外全部に出演していて、やや世代交替しつつあるのを感じた。

前半の3演目は全て初見で、なかなか面白かったので、もう一度見たいほどだ。でも、大阪は平日だしね〜
会場にはベジャール氏の大きな写真の横に、彼の愛用した椅子、書物、「リア王−プロスペロー」で彼が着た道化の衣装が展示されていた。書物のリストの中には、日本の「ハラキリ」というのもある。「ザ・カブキ」「M」などはこれを参考にしているんだろうな〜 
本当に偉大なコリオグラファーを失ってしまったのだな〜と実感した。

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