Kバレエ「海賊」

5月29日(火) 18:30〜
愛知県芸術劇場 大ホール
出演
メドーラ: 康村和恵
コンラッド:スチュアート・キャシディ
アリ: アレクサンドル・ブーベル
グルナーラ:荒井祐子
ランケデム:宮尾俊太郎
ビルバント:ドゥー・ハイ
サイード・パシャ:イアン・ウエッブ
物乞い:小林絹恵、小林由明
パ・ド・トロワ:第1ヴァリ:東野泰子
第2ヴァリ:樋口ゆり
第3ヴァリ:長田佳世
まず会場はキャンセルが多かったのか、結構空席が目立った。いつもKバレエの公演はほとんど完売で満席なのだが、2階の最前列などの特等席も空いていて、私と同じ列に座っていた女性が、始まる直前に何人もの人の前を通って自分の席から出て行き、空いている座席に移ったので顰蹙を買っていた。東文と違って芸文の係員はチケットの提示を求めたりしないし。
指揮は、バレエ音楽の第一人者と言われる福田一雄氏。まだお元気でやってらしたのね、と思った。(Kバレエの時って、いつもこの人だったかしらん?)
(高くて立派な)プログラムの解説によると、今回熊川氏は、音楽を一から構築しなおしたとのことで、玉大芸術学部の野本准教授はとても褒めていたが、なんだかお馴染みの「海賊」の音楽のいくつかを、全く知らない曲が縁取っているという感じで、とっても違和感があった。確かに、バレエ「海賊」の作曲家は、アダン始めドリーブ、プーニ、ドリゴ等5人もいて、たいてい「音楽 アドルフ・アダンほか」と表示される場合が多いが、マリインスキー始め、レニ国、ABTでも同じ曲を使用しているのに、聞いたこともない曲が半分近くもあると、どうも落ち着かない。ここ数年ほとんど毎年のようにレニ国の「海賊」を観ている私には、新鮮というよりは、何だかそれだけでもう、別の演目のような気がして、次回はいいわ、という気になってしまう。
と、最初からそう書いてしまっては身も蓋もないということになるが、序曲からして知らない曲で始まった。幕が開くとまず、海図が描かれた内幕がある。例によって照明が当たって内側のダンサーが見える。10人くらいの海賊の男達が固まって並び、Kバレエ「海賊」の宣伝時の映像と重なる。彼らはどこか行き先を見定めたようだ。
照明が消えて再び内幕だけになり、音楽がお馴染みの「海賊」のオープニングの曲になり、いよいよ始まるのね、といういつものワクワク感をそそる。再度照明がつき、プロローグ。布の動きで大海原を表し、下手に船が見える。結構立派な船だが、乗っているのが海賊に見えない、と思ったら、さらに下手から海賊船が現れて並び、略奪行為を始めた。2隻も船を作るなんて、スゴイ! 最初の船はカーテンの向こう側に半分ほど出ているだけなので片ペラだけかもしれないが、それにしても見たことないほど豪華。さすがセットにお金をかけるKバレエだ。海賊船も豪華で、(ちょっと丸っこいのが気にはなるが)センターに進み、仕事の上首尾を祝って男達が喜び合っていると、突然雷鳴が起こり、嵐になる。大嵐らしく、船は揺れ、マストが折れ、海賊達も何人か船から投げ出される。前奏曲が終わり、照明も消える。
いや〜、何だか本当に海賊っぽい。ちょうど映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」も始まったし、イメージも今までの「青」ではなく、ギリシアの砂、中近東の埃、錆びた赤土の色だそうで、チラシと同じセピア色を感じるのも「パイレーツ」のイメージと重なっている。前奏曲も結構長いので、従来のようにただ難破しかけた海賊船が波間に漂っているだけだと、同じシーンが長く続き、間がもたない感じがあるが、これだけのものをやってくれるだけ十分時間があったのだ。
内幕が上がり、第1幕第1場。嵐のおさまった後の海岸シーン。海賊船は難破して旗もボロボロ。海賊達が海辺に打ち上げられ、気を失っている。アリがまず息を吹き返し、立ち上がる。続いてビルバントも。このドゥー・ハイという人は、長い黒髪で衣装も黒い。顔もなかなかの面構えで、海賊の風貌に合っている。スリムで若そうなので、ややチンピラぽいが、東洋系なのかしらん。(名前からいってモンゴル系?)日本人のヤンキー兄ちゃんみたいな雰囲気。
ブーベル@アリは小柄で、コロコロした感じで、年齢よりもぐんと若く見え、まるで少年のようだ。後で並んだら熊川氏より小さかった。
二人は重症らしいコンラッドを抱えて、下手に引っ込む。そこにギリシアの娘達登場。水瓶を持ってきたのが、ちゃんと後のシーンの伏線になっている。でも、衣装が、スカートの下にパンツのような、なんとなくアジアンな雰囲気で、ここはどこ〜? 踊りも何だか、振りがタイのような、バリ島のような。娘達の衣装は白に近い薄い水色で、グルナーラの荒井さんは同じデザインでピンク。後からやってきたメドーラの康村さんはブルー。この色の関係はデザインが変わっても最後まで同じなので、二人のダンサーを見慣れない人にも見分けがついてわかりやすい。
しかし、この版の設定では、二人は姉妹ということで、どちらも雰囲気は似ているのでよいのだが、姉がメドーラかと思ったらグルナーラで、メドーラは妹。雰囲気的に荒井さんの方が妹のような。他のサイトでも、他のキャストでも同じような感想が多かったので、メドーラを姉とした方がスッキリするのではないかと思った。姉妹にしたのはあくまで熊川氏のアイデアらしいのだが。妹の方が背が高いというのは世間ではよくあることだけど。
定番の音楽の踊りでは、従来の振付に近い踊りだった。康村さんの踊りは伸びやかで、弾力性もあり、なかなかよかった。しかし、この人は本当に細い。見事なほど余分なお肉がついていない。踊り始めのせいか、ちょっと回転系がフラついていたかな? 荒井さんの踊りは安定していてとってもいいし、とても可愛いのでグルナーラのイメージに合っている。(あくまで私の中の、メドーラの方がお姉さんぽいマールイやマリインスキー版でのイメージだけど)
そこへアリが下手から現われ娘達に救助を求める。娘達は水瓶の水をコンラッドに与える。コンラッドは自分を介抱してくれた美しいメドーラに一目惚れ。キャシディ@コンラッドは以前より少しスリムになったような? そうするうちに、奴隷商人ランケデムと手下達が現れる。当時は海賊は見つけ次第殺してもよかったそうだが、彼らは海賊には目もくれず、娘達を捕らえてさらっていく。縄でひとくくりにするのがリアル。今までのは縄も形式的に、象徴的に使われていたが、夢物語より現実を追求するKバレエの演出はリアリティに溢れている。
内幕が上がって第1幕2場は奴隷市場。金持ちだけが秘かに集まる市場だそうで、支柱の間には幕が張られ、天井からは色や形も様々な美しいランプが下がっている。客のための大きなクッション椅子や、背もたれの枕もある。物乞いの二人がセンターでアクロバティックなダンスを踊る。金持ち達に混じって、冨と権力を手にしたトルコ総督、サイード・パシャもやって来て大きな椅子に寝ころぶ。
ランケデムは、ギリシアの海岸でとらえた娘達を売りつけようとする。ベールをかぶったグルナーラとのパ・ド・ドゥは他のバージョンと大体同じ。が、グルナーラのヴァリエーションはなぜか、エスメラルダのヴァリだった。タンバリンを持っていないので、もちろん振付は違うと思うが、この音楽で踊るグルナーラは何だか違和感ありすぎ。荒井さんは最初とは違う衣装だが色はピンク。ランケデムの宮尾さんは、背が高く、赤い衣裳を着て、ビルバントとちょっと似た雰囲気だが、背はキャストの中で一番高い。踊りは、mmm、ランケデムと言えば、マラーホフ、ザクリンスキー、ファジェーエフ、マトヴィエンコなど、名だたるロシア人ダンサーのを見てしまっているので、健闘していた、とだけ言っておこう。物乞い達が、盆を差し出すと、金持ち達が金袋を載せるが、パシャは、比べものにならないほどの大きな袋を二つも差し出して、グルナーラを買い取る。
そこへ金持ちに変装した海賊達が現れる。
続いてランケデムがメドーラを売り込む。その美しさに、またもやパシャは大金で買おうとするが、コンラッド達が張り合おうとする。しかし、金額でパシャに勝てるわけがない。メドーラを連れ去ろうとするところで正体を現した海賊達は、いつのまにか加勢も現れ、メドーラ始め娘達を奪って逃げていく。ランケデムもビルバントらに連れ去られる。
この場面は大体既成の版と同じだが、大きく違うのはアルジェリアやパレスチナの踊りがないところ。多分、Kバレエは女性ダンサーの数が足りないのだろう。「白鳥」のコールドは覚えていないが、「ジゼル」もウィリーの数が1列分少なくて貧相な感じだった。もう少しダンサーを雇っては?と思ってしまう。
ここでインターミッション。
-----to be continued-----



















































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