Posted: 2011.05.21 (Sat) by 仁菜(にーな) in
バレエ
5月19日(木) 18:30~ 愛知県芸術劇場 大ホール
プロローグ付き全3幕
音楽:ピョートル.イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ、 ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
衣装・装置: フィリップ・プラウズ
照明:マーク・ジョナサン
<メイン・キャスト>
オーロラ姫: エリシャ・ウィリス
フロリムント王子: マシュー・ローレンス
カラボス: ヴィクトリア・マール
リラの精: ジェンナ・ロバーツ
青い鳥: マティアス・ディングマン
フロリナ王女: アンブラ・ヴァッロ
タッチキンに次いで日本にやって来てくれて、本当にありがとうと言いたい。
4ヶ月ぶりのバレエ公演で、「眠り」らしい、華やかな舞台だった。
美術は伝統的でクラシックな感じで、全体的に色が渋いが、豪華である。
衣装は単色ではなく複雑な色使いで、ルイ王朝へのオマージュというプティパのコンセプト以上にフランス的な所が、高く結い上げた髪、男性の長髪の鬘、ローブ・ア・ラ・フランセーズなどに見られる。男性の衣装も丈が長く、マントの分量もたっぷりで、重厚感がある。式典長も王に負けないほどりっぱな装いである。
ただ、やはりマリインスキーなどのように大所帯の引越し公演という感じではなく、宮廷の人物などはやや数が少なくて寂しい気もしたし、全体に小ぶりな感じは否めなかった。
プロローグでは、リラの精のお付きの妖精達が、それぞれの妖精達の特徴を表す花や鳥かご、鏡等のオブジェクトを捧げ持っているが、全部のオブジェクトは確認する時間がなかった。妖精達にもそれぞれお付きの騎士達がいて、サポートしていた。妖精はリラの精の他に6人いて、パ・ド・シスの最後に別格の妖精がリラの精の踊りを踊る。なので、リラの精は紫のロングドレスにハイヒールで、踊りはしないし、魔法の杖のようなものも持っていない。
カラボスは黒いロングドレスの女性で、とっても美人だった。お付きの黒ずくめの魔物達と踊り回る姿は圧巻。
大広間のセンターにある姫のゆりかごの後にオベリスクが見えていたのが印象的だった。ベルサイユ宮殿にはオベリスクってなかったと思うが...?
<第1幕>
ロシア版のように、編み棒を持っているおかみさん達の踊りの場面はない。
誕生祝いは野外ではなく、プロローグと同じ大広間で行われている。プロローグで姫のゆりかごのあった場所は大きなフランス窓が開かれていて庭が見え、オベリスクが立っている。外から4人の王子達が順に入ってくる。
オーロラ姫のエリシャ・ウィルスは、非常に脚が強いらしく、ローズ・アダージオでもほとんど微動だにしないバランスを見せていた。小柄なので、なかなか可愛らしく美しい王女だった。ランベルセも柔らかく美しい。
魔女が差し出す花束の中からは、編み針ではなく糸巻きが現れる。魔女はいったんは兵士達に捕らえられるが、暗闇に消える。
倒れた王女を寝かせる場所が、外のオベリスクの下で、そこに寝具を置いて寝かせるというのがちょっと安易な感じ? リラの精の魔法で、その場がイバラで覆われて幕になる。
<第2幕>
100年後の森の中なのだが、蔦に覆われた木々の下から、大広間にあった段が見えているのでちょっと可笑しい。伯爵夫人はじめ森へ狩りにやって来た宮廷の人々の様子や、リラの精、森の妖精達やオーロラ姫の幻と王子の踊りなどはマリインスキー版と大体同じ。
リラの精に案内されて姫の城に入って来た王子は剣も持っていないし、リラの精も特に大したこともしないのに、城の中にいたカラボスや手下達が逃げていくのもちょっと変。
王子のキスで目覚めたオーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥがある。この時の音楽が、マリインスキー版や新国版で、幕間に間奏曲としてヴァイオリンソロで演奏されていた曲で、とても美しい。普通の「眠り」にはない演出だが、馴染みのある曲なので、興味深く見てしまった。振付はピーター・ライトかな?
<第3幕>
たいていの結婚式の場面とほぼ同じだが、宝石の精の踊りはなく、男女4人のパ・ド・カトルで音楽は同じ。男性のパートは大きくジャンプなどして、他にはない躍動感を出していた。
猫は2匹とも猫のマスクで素顔が見えない。赤ずきんちゃんは、頭巾が頭の大部分を覆うフードタイプで、マントも付いている。
青い鳥の踊りの時、オケの金管(ファゴット?)がひどくて、せっかくの名場面なのに脱力してしまった。あの場面であんな酷い音なんて、聞いたことがない。(演奏は、東京シティー・フィルハーモニック管弦楽団。このオケは他のバレエ公演の時も演奏していたが、部分的にへたれだと思った)
王子と姫のグラン・パ・ド・ドゥは、一部振付がプティパのとは違っていたが、なかなかの美男美女ペアで踊りも良かった。2幕の最後で結構踊ったので、やや軽い振付にしてあったのだろうか?
踊らない招待客達は動くので(席が遠くてオペラグラスが離せなかったため)確認しづらかったが、シェヘラザードと王のような、アラビアン・コスチュームのペアもいた。
「眠り」は豪華ではあるが、やはりここの版はやや小ぶりな感じがした。でも久しぶりの「眠り」なので、約3時間クラシックバレエを堪能した。
<タイム・テーブル>
プロローグ: 18:30-19:10
休憩 20分
第1-2幕: 19:30-20:35 (間に短い幕間があるが、照明はつかず、ほどなく第2幕となる)
休憩15分
第3幕: 20:50-21:30
(余談)
CBCTV事業はキャスト表をくれず、大版のがロビーに貼ってあったのみなので、皆携帯やデジカメで映していた。主催者に終演までにコピーしてくれるようお願いしたので、帰る時はテーブルにキャスト表が積んであったが、知らずに帰った人もいると思う。
(とりいそぎのアップなので、詳細は後述の予定)